2007年9月12日水曜日

善意という資源

人間は皆、利己的です。その利己的な欲求を、「神の見えざる手」により社会全体の効用増大につなげる仕組みが市場であり、これが効率的に機能していれば、新たなイノベーションも生まれやすい環境になります。食欲、物欲、性欲、支配欲-これらの利己的な欲求こそが、実は社会の発展の最大の原動力であり、資源であるといえます。

ただ、人間は社会的な動物でもあります。生理的な欲求以外にも、社会とのつながりの中で自己実現を求める社会的な欲求を持っています。利己的な欲求の充足をひたすら追い求めるだけではなく、家族を愛し、隣人を助け、よりよい社会をつくることに貢献したいとも考えています。こうした欲求は誰の心の中にも、多かれ少なかれ存在するはずです。

私は、こうした向社会的な欲求こそが、人類が未だ効果的に活用し切れていない最大の資源であると考えています。市場の仕組みももちろん完璧ではないけど、利己的な欲求という動力を、社会の発展に変換するエンジンとして絶大な力を発揮しています。一方、人々の向社会的な欲求を刺激し、惹きだし、需要と供給をマッチさせ、さらに強化していく循環の中で社会の発展につなげていくような仕組みは、極めて未発達の段階にあります。

convisageが目指すのは、こうした仕組みを作り出すための議論と実践のフォーラムを提供することです。資本主義経済がここまで高度に発展するためには、貨幣制度から始まって、銀行制度、債券市場、株式市場、会計基準、監査制度、経済メディアといった網目のようなインフラの整備が不可欠だったように、今まさに生まれつつあるグローバル市民社会の健全な発展のためには「社会起業インフラ」とでもいうべき土台を丹念に編み上げていく必要があると考えています。

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