2009年7月24日金曜日

本当にできる…かも??

7月20日 (月) 【ケニア】

ミーティングが、朝から夜まで4つも入って、忙しい一日だった。その分収穫も大きく、なにやらぼんやりとだが、手がかりやヒントが見えてき始めた気がする。

1. Amaan Khalfanさん

まず、朝一番のミーティングは、Amaseena Consultingという自前のコンサル会社を経営するAmaan Khalfanさんと。

インド系ケニア人の彼は、チェンジマネジメント系のコンサルとしてアメリカで数年経験を積んだ後、帰国。赤字が続いていたHoney Care AfricaというソーシャルビジネスにCEOとして参画し、黒字化に成功する。その後Amaseenaを創業し、実行まで深く関るコンサルティングを行っている。クライアントは、ソーシャルビジネスを中心に、NPOや一般の営利企業まで幅広い。

話し始めるとすぐに意気投合。私の思い描いている社会投資ファンドについてもすっかり乗り気で、ケニアではじめるべきだと強く勧めてくれた。具体的にどうすればできそうか話し合っている内に、こっちもなんだか本当に実現できそうな気がしてきた。

思いがけず早くも、心強い味方に出会えたのかもしれない。彼の持つネットワークと目利きの能力は、投資先として有望なソーシャルビジネスを探す際に、とても貴重。また、現地のビジネス環境を理解したうえで経営アドバイスを行い、投資先の企業のポテンシャルを引き出すためにも、彼の経験とスキルは有用だ。

2. Enterprise Professional Service Program

左がHildaさん、右がMatthewさん

次に訪れたEnterprise Professional Service Program (EPS)では、Project AssistantのHilda IreriさんとMatthew Abongoが、丁寧にプログラムの説明をしてくれた。

彼らの"Banking on Oil”というプログラムは秀逸。

路上自動車整備工の「オフィス」

  • 街を走る車のほとんどが中古車というナイロビでは、貧困層が大きな資本がなくてもできるビジネスの一つとして、路上で営業するヤミ自動車整備工がある
  • しっかりした設備がない彼らは、これまでオイル交換の際に回収した古いオイルを川や路上に捨てていて、環境汚染の元になっていた
  • EPSが路上自動車整備工から古いオイルを回収し、その対価として現金(ドラム缶一缶で2000ケニアシリング=約2500円)を支払うか、またはローン(ドラム缶一缶で6000ケニアシリングの借り出し権、利率は月1.5%)を提供
  • EPSは回収した古いオイルをフィルターにかけ、燃料として工場などを操業する企業に売る(ドラム缶一缶で3500~4000ケニアシリング)
  • 品質保全と処理費低減のため、自動車整備工はあらかじめオイルの回収方法や保管方法についてEPSからトレーニングを受ける

Mukuru地域(ナイロビで二番目に人口の多いスラム)にある回収した廃油の倉庫を見せてもらった

話を聞いた限り、うまくやれば十分採算がとれる事業にできる可能性はありそうだし、スケーラビリティもありそう。聞けば、供給・需要ともにまだまだポテンシャルはあるが、資本調達が事業拡大のボトルネックになっているとのこと。1000万円~5000万円規模の事業拡大資金需要は、寄付・助成金、マイクロファイナンス、銀行、ベンチャーキャピタルなどの既存のプレーヤーがなかなかカバーできていないところで、調達が難しいそうだ。

3. KenCall

Fairview GroupのDaniel Szlapakさんの紹介で、コールセンター業務などのアウトソーシングで注目を集めるKenCallのCOOのEric Nesbittさんと会えることになっていたが、急用とのことでドタキャン。代わりに広報担当の人と会った。

  • 2009年予想収益10億円
  • 安価で、英語が話せて、能力の高いケニアの人材を活用して、例えばインドよりも20-30%安い料金でコールセンター業務のアウトソーシングサービスを提供できる
  • クライアントは国内企業と海外企業が半々
  • コールセンターだけでなく、バックオフィス業務全般を受注できる体制を整えている
  • 今年中にもルワンダへの進出を予定
  • 2011年を目処にロンドンまたはナイロビでのIPOを準備中

ただ、資金需要などについて、少し突っ込んだ質問をすると「自分ではわからない」という返答で、あまり成果は大きくなかった。

4. People To People Tourism

People To People Tourism代表のPeter Wahomeさんと夕食。彼は根っからのcommunity organizerで、草の根アプローチにこだわって色々なプログラムを立ち上げてきた。社会投資ファンドの話をすると、農村の貧困層のために始めたヒマワリ栽培プログラムについて説明してくれた。ヒマワリ油を製造する企業に売って、農民の副収入源にする。

従来のように寄付や援助に頼るのではなく、低利息ローンで資本調達を行うという考え方についても、プラグラム参加者の自立意識を促し、貧困から脱却するための次のステップになるとして、とても肯定的な反応。

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4 件のコメント:

  1. あまがえる2009年7月26日 9:08

    > 低利息ローンで資本調達を行うという考え方についても、プラグラム参加者の自立意識を促し、貧困から脱却するための次のステップになる

    この考え方で救われる人は多いと思います。
    日本の銀行で養豚場の豚そのものを担保にして、資金を貸すというサービスを始めたところがあるそうです。その結果豚の死亡率10%が2.7%に改善されたとか。
    貸し付けを受ける側が育っていくビジネスは両者にとって気持ちいいものでしょうね。

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  2. そうですね。それをちゃんと採算の取れるビジネスとして成り立たせるのは簡単ではないことは十分承知していますが、どうにか実現したいと思ってます。

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  3. 初コメント失礼致します。

    >EPSが路上自動車整備工から古いオイルを回収し、その対価として現金(ドラム缶一缶で2000ケニアシリング=約2500円)を支払うか、またはローン(ドラム缶一缶で6000ケニアシリングの借り出し権、利率は月1.5%)を提供

    私も、対価をローンにするのは非常に効果的だな、という印象を受けました。相手に信用を与えてビジネス意識を高め、その様な人と企業が将来的に有益な繋がりを築けるのだと思います。

    ただ現地の人の感覚では「現金が貰えるのに何故ローン?」と考える人も多いのではないでしょうか?それによって顧客の事業意識も分かる様な気がします。実際にはキャッシュとローン、どちらを選ぶ人が多いのですか?

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  4. > imayuさん

    コメントありがとうございます。

    実際にはローンを選ぶケースと現金を選ぶケースが大体半々だそうですよ。やはり事業拡大や運転資金のためにお金が必要なのに、他から借りることはできず、現金の3倍の額が借りられるならローンを選ぶということも多いようです。

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