今日はミーティングが3つ。
1. Technoserve Kenya
Technoserveはビジネス支援による開発というアプローチの嚆矢といえる団体。ケニアオフィス代表のFred Oganaさんと会った。
Endeavorと似た活動を行っているという印象を持っていたが、個々の起業家を選んで集中的にコンサルティングを行うEndeavorの手法と異なり、Technoserveは国毎に開発戦略的に重要なセクターを決め、その産業の中小企業向けのワークショップを開催したり、産業団体や政府に産業育成の政策アドバイスをしたりといった活動が主。資金を直接提供することはせず、テクニカルアシスタンスのみ。
従来支援対象として重視してきた小規模企業(年商3-4億円以下)は、生存率が低く支援のコストパフォーマンスが低いため、今後はそれより少し大きめの中規模企業に焦点を移していくとのこと。
また、農業人口が8割近くを占めるケニアではこれまで農村での経済振興を主な目的として、農業、観光業、代替エネルギーなどに注力してきたが、近年の都市への急速な人口流入とスラムの肥大に鑑みて、今後は都市部での活動にも力を入れていくと語っていた。
2. AllanさんとCollinsさん
Fairview GroupのDaniel Szlapakさんのすすめで、ホテル従業員のAllanさんとCollinsさんに会い、一般のケニア市民としての立場からの話を聞いた。
- 行政サービス、警察、交通などの社会システムが健全に機能していなくても、富裕層はコネやカネを駆使して必要なものやサービスを手に入れるし、貧困層は社会システムに依存しないで生活していく手段(ヤミ経済、非合法活動など)を見つけ出す。自分たちのような中間層は、否応なく税金を払わされ、かといってその対価となるサービスは得られない。汚職・腐敗と非効率だらけで機能していない社会システムを変えていくには、一番しわ寄せを受けている中間階級が、「これではだめだ」と声を挙げて行動していくしかいない
- K-Rep BankやEquity Bankのようなマイクロファイナンスに重点を置く新しいタイプの銀行のおかげで、地方の低所得層も金融サービスが受けられるようになり、生活改善に目に見えた成果を発揮している。しかし、グループ単位の貸付を主とするマイクロファイナンスでは、個人の多様なプランやニーズに対応するのが困難であり、またコミュニティ内で信用の蓄積が少ない若年層はその恩恵を受け辛くなっている
こうした普通の人の普通の話を通訳抜きで聞けるのは、都市部だけでなく地方に行っても英語を堪能に話す人が多いケニアのいいところ。レストランやバスで隣に座った人や、タクシーの運転手さんからも色んな情報を得ることができる。
3. Judith Muturiさん
Judith Muturiさんと夕食。彼女は、大学生の時アメリカに渡り、卒業し投資銀行に勤めた後、WhartonでMBAを取得し、昨年末ケニアに帰国。今はプライベートイクイティ・ファームの中でも新興経済への投資に特化しているAureos Capitalのケニアオフィスで、アフリカのヘルスケア・セクターの企業に投資するHeath in Africa Fund の運用チームに参画している。
このHealth in Africa Fundは、資本を世銀グループのIFCやアフリカ開発銀行などから調達している。Acumen Fundの出資者は(少なくともこれまでは)経済的リターンを求めない慈善資金だったのに対し、こちらのファンドの運用には、開発への効果と経済的リターンの両方がシビアに求められる。
「インパクト・インベストメント」という、寄付でもなく、利潤追求を至上目的とする投資でもない、社会的価値創出のための投資へのムーブメントの最先端を切り開く仕事で、何ともエキサイティング。
いたく関心をそそられ、アフリカでのPEやVCの現況について色々と話を聞いた。特にベンチャーキャピタルや中小企業(SME)投資に特化したファームに興味が湧いてきた。
お陰さまで、現在「起業・独立」カテゴリで63位まで浮上!
上のアイコンをクリックして、是非応援おねがいします!!
一般の中間層と英語で会話が成り立つのではとても役立ちそう。ホテルの従業員だから使えるというわけではなく、英語を話す教育が行き届いているのでしょうか?
返信削除> 社会的価値創出のための投資へのムーブメント
社会的価値が何なのか。それに対する投資に見合うリターンはファンドを創出する側で作りあげることができるのか興味深いです。
社会的価値を批評する専門家が必要?
MBAを取得してケニアに戻ってきて活動なんてステキな方ですね。
返信削除社会的価値の創出という投資目的は素晴らしいです。
どんな内容なのか興味ありますね。
Cloudgrabberさん、
返信削除おひさしぶりです!Judithは実はWhartonでの私のコホート・メイトで、アフリカにおけるソーシャル・インベストメントについて議論した仲です。こんなところでお二人がつながっているのを見るのは本当に不思議です!
アビ
> あまがえるさん
返信削除ケニアでは、英語が公用語の一つになっていて、小学校高学年あたりから英語を教えるようですね。
社会的価値をどうやって評価・測定するかというのは、ご指摘の通り、とても大事な課題です。今、主要な財団やコンサルティングファームがこぞってこの問題に取り組んでいます。
> scorpioさん
いやーケニアにはアフリカを巡る旅の中で立ち寄っただけで、結局元のコンサルの仕事に戻る予定ですので、恐縮です。
> アビさん
なんと!そこがつながっていましたか!私は今回ケニアにくるということでケロッグの友人を通じて彼女に紹介されたのですが、とってもfriendly & intelligentな女性ですね。
初めまして。mixi経由でたどり着いたKeniと申します。
返信削除私は現在日本のコンサルティングファームでヘルスケアのバックグラウンドを持ちながら働いているものです。
Health in Africaなんて楽しそうな話ですね!
Blog更新楽しみにしています。
PS ランキングもクリックしときましたよー。
> Keniさん
返信削除ですよね!今後は、日本発でもこういうワクワクする話がたくさん出てくるといいですね。