2009年8月2日日曜日

ケニアのマイクロファイナンスと四方山話

7月22日 (水) 【ケニア】

(アフリカ旅行中はできるだけリアルタイムで更新しようと思っていたんですけど、ちょっと間が空いてしまいました。。ちょっとピッチを上げないと!)

1. K-Rep Bank

ケロッグの教授の紹介で、K-Rep BankのManaging DirectorのKimanthi Mutuaさんに会うことができた。現在アフリカ中でマイクロファイナンス系の銀行群が急速に成長しているが、K-Rep Bankもその一つで、そのマイクロファイナンスプログラムは、ケニアではEquity Bankに次ぐ規模。昨日話したAllanさんやCollinsさんも語っていたように、K-Rep Bankはこれまで銀行が無視してきた貧困層や農村部にサービスを提供して、高いカスタマーロイヤリティを獲得しているようだ。
  • 元々は、NPOによる中小企業支援のプログラムとして1984年に発足。1989年にマイクロファイナンスをはじめ、1999年に商業銀行に転換。現在はグループ・ローンによるマイクロファイナンスだけでなく、個人ローンや企業ローンなど銀行サービス全般を手がける
  • 2007-8年の政治危機までは、毎年30%-50%の勢いで成長してきたが、昨年は社会不安に伴う経済悪化により、債務不履行が急増(2億5千万ドル= ローンポートフォリオの5%)
  • ローン需要の増大は今後も続くと見ており、貸し出し資金や支店網拡大のための資本調達を計画中
  • 特に建設業からの需要が増加している。他にも、製造業、サービス業(特に運輸・交通、美容など)全般において需要は固い
あと興味を惹かれたのは、K-Rep Bankも利用しているという、Safari.comのM-PESAというサービス。携帯電話を使ったバンキングのプラットフォームで、銀行は初期投資などのコストを心配することなく手軽に顧客に携帯電話バンキングを提供できる。Safari.comは利用者から手数料(Ksh 25-30)をとるが、ATM手数料(Ksh 30-50)よりも安く、人気を博しているとの事。

2. Amaan Khalfanさん(とその友人たち)

月曜日にも会ったAmaanさんのお宅に夕食に招かれる。穀物製粉業を営むAneez Laljiさんなど、Amaanさんのインド系実業家仲間3名とその奥さんたちと現地の治安や政治・経済について話がはずむ。
  • 最近Matatu(庶民の足のマイクロバス・タクシー)のハイジャックが多発しているが、これは社会不安を醸成して、警察庁長官を辞任に追い込むための政治的な陰謀だという噂が流れている
  • 昨年の最悪期からは随分沈静化したが、政治危機以前に比べると治安は確実に悪化している。2012年の次期大統領選挙はさらにひどいことになるのではないかと懸念する声も大きい
  • Equity Bankは現政権との癒着がひどく、次の選挙でもし政権交代があればつぶれるのではないかという噂もある
  • 最近、外国政府や企業・ファンドが、自国への作物輸出のため、アフリカの国々の土地を大々的に買占めて議論を呼んでいるが、やり方によっては社会起業家がこうした事業を興して大きなプラスの社会的効果を生むことができるのではないか
  • 南アの経済覇権が南部アフリカだけでなく東部アフリカにも広がっている。ケニアがぼやぼやしている間に、タンザニアやウガンダなどの近隣諸国も南ア経済圏に取り込まれている。その内、東アフリカ共同体(EAC)が南部アフリカ開発共同体(SADC)に吸収されるなんて事もありうるんじゃないのか

(以上、単なる噂話ですので、額面どおりに受け取らないでくださいね、念のため。。)

Amaanさんの奥さんお手製のインド料理も美味しかった!

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6 件のコメント:

  1. マイクロファイナンスが30%-50%の成長とは驚きました。
    しかしブログを読む限りはマイクロファイナンスは支払い能力の査定が甘く、日本の消費者金融のような印象も受けます。
    銀行業たるもの査定が厳しくないといけないのでしょうね。

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  2. > scorpioさん

    目覚しい成長率は、K-Repやケニアに限った話ではなく、色々な国でこうしたことが起きている印象を受けます。SKS MicrofinanceのVikram Akula氏が、マイクロファイナンスのビジネス化によりスピードとスケールを達成する必要があると言っていたことを思い出しますね(2009年5月8日のエントリー参照)。

    scorpioさんの言うとおり、マイクロファイナンスは伝統的な銀行などの査定規準からみると、「甘い」と思われるかもしれませんが、グループ・ローンなどの手法を取り入れて、概して普通の銀行よりもかえって高い債務回収率をあげています。

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  3. グループローンとは、何でしょう?
    ひょっとして連帯保証人でしょうか?
    かえって怖いですよ。。。

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  4. >scorpioさん

    マイクロファイナンスに関する基礎知識については、このあたりをご覧ください。

    →http://d.hatena.ne.jp/microfinance/20080424/1209052269

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  5. ご教示ありがとうございます。

    なるほど。
    高い金利と連帯保証ですが、多重債務に陥るような不のスパイラルに捕らわれるわけでもないようですね。
    もし強制的な取立て、詐欺の横行などが絡まなければ、かなり健全な融資の方法だという印象も受けます。

    あまり詳しくないので、これ以上の見解は出せませんが、貧困層にとっては貧困から抜け出すための重要な鍵になっているようですね。

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  6. > scorpioさん

    もちろん、マイクロファイナンスもなにもかもがバラ色というわけではなく、強引な取立てやローンの押し付けといった問題も全くないわけではありませんが、貧困削減の一つの有効なツールといえると思います。

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