The Chronicle of Philanthropyの"Crafting a plan for Social Innovation"という記事(無料での記事閲覧はこちら)で、オバマ政権になってホワイトハウス内にOffice of Social Innovationが新たに設置される動きになっていることを知りました。
オバマ氏は選挙活動中から、Social Investment Fund Networkの創設やCorporation for National and Community Service内にSocial Entrepreneurship Agencyを設置することを提案するなど、市民セクターの重要性について何度も言及していましたが、どうやらノンプロフィットや社会起業家を支援するための大統領直轄部署が誕生することになりそうです。
その機能や実態についてはまだ公式な発表がありませんが、政権移行の準備チームでthe Innovation and Civil Society subgroupに加わったメンバーたちの話によると、
- 実績を挙げている非営利組織・社会起業家への政府資金投資
- 非営利組織・社会起業家と政府の連携体制の強化
- ボランティア活動の促進のためのITやメディアの活用
- ソーシャルビジネスや社会起業への支援
- ソーシャルイノベーションの活性化のための政策立案
などを含め、従来のノンプロフィットやフィランソロピーの枠を超えたソーシャルイノベーションを促進するためのインフラ・環境整備に向け、抜本的な方策が検討されているようです。
Innovation and Civil Society subgroupのCo-Chairを務めたMichele Jolin氏が、Stanford Social Innovation Reviewの記事や、Echoing GreenのPresidentであるCheryl Dorsey氏とのインタビューでも語っているように、技術革新とソーシャルイノベーションが車の両輪ともいうべき役割を果たして、社会・経済の発展と問題解決の原動力となって行かなくてはならないという考え方が、オバマ政権の基本思想の一つとなっています。
もちろん、政府による市民セクターへの関与を手放しに歓迎することはできませんが、ソーシャルイノベーションが果たす役割に関する一般の認識を向上させるには、大きな効果が期待できると思います。
英国もGordon Brown政権になってから、ソーシャルビジネスの支援環境の整備のために盛んに手を打っており、Social Stock ExchangeやSocial Investment Bankを創設するための準備が本格化しています。オバマ政権に代わって、米国でもますますソーシャルイノベーションのスピードが加速していきそうです。