ラベル KAIEN の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル KAIEN の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2009年9月7日月曜日

Kaien、始動

ケロッグ経営大学院にMBA留学する直前に、息子さんが自閉症と診断された鈴木慶太さん。

彼の「自閉症を取り巻く社会の現状をどうにかして変えたい」という、真剣な思いと行動力に引き寄せられ、ビジネススクールの仲間や、多くの外部の専門家、それに応援してくださる方々が少しづつ周囲に集まって来て、Kaienは始まりました。


Kaienlogo
Kaienのロゴもリニューアル

この夏、主要メンバーがケロッグを卒業して、Kaienの勢いは加速中です。
  • 先月東京で開かれた、MBAnoWA主催の日本人MBA留学生を対象としたビジネスプラン・コンペティションで優勝
  • 大手IT企業で自閉症の方を雇用する新規プロジェクトにKaienがコンサルティング業務などで支援することが内定
  • 法人化準備も進んでおり、今月末には株式会社Kaienを設立の予定

さらに、今月末には、アカデミーヒルズでCEOの鈴木慶太さん(Kaien共同創業者として言わば身内ですが、このブログは私の個人的なメディアですので、これからも「さん」づけで呼ばせてもらいます)が、1時間半ほどの講演をさせていただくことになりました。

ケロッグ経営大学院 モーニング・セッション
変貌するMBA 社会起業のうねり
~全米ビジネスプラン・コンペティション優勝者による体験談~

  • 日 時: 2009年9月25日 (金) 朝 8:00~9:30
  • 場 所: アカデミーヒルズ49 (六本木ヒルズ森タワー49階)
  • 会 費: 4,000円(サンドイッチ・コーヒー代が含まれます)
  • 申込み: 件名に『ケロッグ・モーニング・セッション8』と記載の上、ケロッグ経営大学院日本同窓会・事務局まで、メール【kellogg@arc-c.jp】にてお申し込みください。(アカデミーヒルズのホームページ経由の申し込みはすでに満席になっております)
  • お問い合わせは『アカデミーヒルズ・六本木スクール事務局』までお願いします。(電話:03-6406-6200、受付時間:10:00-19:00 土・日・祝・年末年始を除く)

鈴木慶太さんからのメッセージ

このセッションでは、息子が自閉症に診断されてからビジネススクールの仲間たちとビジネスプランを書き上げ、起業にいたるまでに体験したエッセンスを、「MBAと社会起業」というコンテクストの中でお伝えしようと思います。
このセッションをお聞きいただけば、Kaienのプロジェクトが何を目指して始まり、アメリカのMBA生や社会起業支援家に評価・批評・支援されるなかで、どのような変遷を遂げて創業に結びつこうとしているのかが、良くお分かりいただけるものと感じています。セッションの最後には鈴木とQ&Aの時間も数十分ほどとっていますので、Kaienに対する質問などをお気軽にしていただける機会にできればと思います。
会場が六本木ヒルズということで場所柄、高い会費になり恐縮です。今のところ席に若干の余裕がありますが、是非お早めに申し込みください。

今日も応援クリック 
ありがとうございます
人気ブログランキングへ

はてなブックマークGoogleブックマークYahoo!ブックマークlivedoorClipFC2Flog
Subscribe with livedoor Reader
ご感想をどうぞ!
 - Yay = 良い/ 面白い/ 賛成
 - Boo = 悪い/ つまらない/ 反対
 - More on this = この話題についてもっと読みたい
 - Difficult = 何だか難しくてよく分からない

2009年5月18日月曜日

そもそも社会起業って何? - その1

先日私の友人で、KAIENのCEOのSさんのところに一通のメールが来ました。その中に、KAIENの事業に関する色々なありがたいご意見とともに、「KAIENのやろうとしていることは、社会貢献企業であり、社会起業ではないのではないか」という問いかけがあったそうです。

最初に断っておきますが、Sさん自身は、特に社会起業家と呼ばれたいとは思っていません。Sさんにとって何より大事なのは、「自閉症を抱える一人息子が将来成人する頃に、彼のような人たちに公正な参加の機会が開かれている社会をつくりたい」というミッションです。そんな遠大なミッションを夢で終わらせず、具体的にどうすれば実現できるのか、と考え抜いた末に、その手段として起業という道を選んだに過ぎず、それが「社会」起業と呼ばれるかどうかなんてことにはあまり興味がありません。

Sさんを始めKAIENに関わる私たちは、「自閉症を持つ人は、社会的なスキルなどの弱点はあるけれど、それを補って余りある人並み優れた才能を持つ人たちがたくさんいる。彼らの弱点をサポートし、強みを活かすコツさえ企業側がつかめば、保護すべき弱者ではなく貴重な人材として、ビジネスに貢献してもらうことができる」ということを、がちがちの資本主義の論理で動くビジネスの本流にいる人たちに理解してもらうため、私たちが身をもって証明してみせることこそが、ミッションを達成するための一番の近道だと考えています。ですから、もしも「社会起業家」というまだふわふわしたレッテルで呼ばれることが、かえってビジネスの本流にいる人たちに真剣に受け取ってもらえない理由になり、KAIENのミッション達成の障害になるとしたら、Sさんは社会起業家なんて呼ばれたくないとさえ思っているはずです。

以前マザーハウスの山口絵里子さんとちょっとメールのやり取りをする機会があった時も、「私自身は自分を社会起業家だと全く思って」いないと書かれていました。彼女の場合、Sさんとはちょっと違った理由からですが、どちらにしろ、お二人ともミッションを達成することに無我夢中で、周りの人が自分のことを何と呼ぶかにはあまり頓着しないのでしょう。

ただ、それにしても、「社会起業」って、「社会起業家」って、何なんでしょうか?なんでSさんにメールをくれた方は「KAIENは社会起業ではない」と言われたのでしょうか?

と、そんなきっかけがあって、少しこのあたりについて私の考えていることを整理して書いてみようと思い立ちました。

では、ここで、ちょっと変な問題を。

次の4つの文章の中から正しいものを一つ選んでください
A. 社会起業をする人が社会起業家である
B. 社会起業家がやることが社会起業である
C. AとBの両方正しい
D. AとBの両方間違っている

どう思いますか?

2009年4月23日木曜日

無念!

みなさんに応援いただいていたDell Social Innovation Competitionでしたが、残念ながらKAIENの決勝進出はならず。ご投票いただいた方々には申し訳ない結果となってしまいました。

でもまぁ、フィードバックはもちろん参考にするにしても、結果については、勝負は水物だから仕方ないとスッパリ気持ちを切り替えて、実際の立ち上げに向けてCEOのSさんを中心に頑張っていきます。

これからも是非とも応援よろしくおねがいいたします!

2009年4月19日日曜日

KAIENがTulane Business Plan Competitionで優勝しました!


昨年このブログでも、高機能自閉症の人たちの強みを活かしてB2Bでソフトウェアテストのサービスを提供する社会起業について何度か書きましたが、その後CEOのSさんの八面六臂の大活躍で、来年の本格的な立ち上げに向けて、どんどん準備が進展しています。詳しくは、こちらのKAIENホームページをご覧ください。

そんな中、昨夜Tulane Business Plan Competitionの社会起業部門の決勝で、KAIENがClean India (バージニア大)PolicyPitch.com (チューレーン大)をおさえ、優勝賞金2万ドルを獲得したという朗報が舞い込みました。
私自身は、決勝プレゼンがウォーレン・バフェット氏とのミーティングと同じ日だったので、残念ながら大会会場でSさんと喜びを分かち合うことはできませんでした。

自信を持って臨んだGlobal Social Venture Competitionでは、準決勝敗退という結果に終わりやや落胆していただけに、今回の勝利は私たちのチームにとって大きな弾みになりそうです。この勢いで、もう一つ参戦しているDell Social Innovation Competitionでも決勝に駒を進めたいもの。

このブログの読者の方の中には、同コンペティションの一次で投票してくださった方も多いかと思いますが、100チーム中3チームに絞られる準決勝でも、審査員団の評価の際に一般投票による得票数が考慮されますので、是非こちらの投票の手順をご参照の上ご協力のほどお願いいたします。(一次での投票結果は白紙に戻され、準決勝のため改めて投票していただく必要があります。。)準決勝投票の〆切は4月21日(日本時間では22日午前7時)と目前に迫っていますが、得票数で苦戦していますので、ご友人、お知り合いにもお声をかけていただけるとありがたいです。

2008年12月6日土曜日

スタディトリップの成果

今朝のEntrepreneurial Financeで、秋学期の授業は終了。今学期私が取った授業は運良くin-class examがなく、レポート提出やtakehome examも今日で全て終わり。一足早く明日から冬休みに入ります!

当初は中東旅行なども企画していたのですが、諸々の事情により南米4カ国(チリ→アルゼンチン→ウルグアイ→ブラジル)を巡る旅に変更。

明日チリに飛び、そこから2週間のクルージングで南米大陸の南部をぐるっと回ってブラジルまで行き、あとはリオでまた2週間ほどゆっくり滞在するというなかなか贅沢なプラン。

それにしても、秋学期は比較的緩やかに始まり、授業もこれまでになくまじめに出ていたのですが、11月に入ったあたりからは突然全てに加速度がついてきて、最後の一ヶ月ほどは疾風怒濤の如く過ぎていきました。

まぁその一番の原因は明らかで、サンクスギビング休暇を利用して日本で行ったスタディトリップ。訪問先のアレンジをしたSさんの大活躍で、当初の想定以上に充実したスケジュールになり、東京、名古屋、大阪で
  • 障害者雇用に力を入れている企業2社
  • 自動車部品メーカー2社
  • 組込みソフト検証業者1社

を訪問したほか、ご自身が発達障害の方4名、組込みソフトに詳しい大学教授1名、自閉症者の就労支援を研究されている大学教授1名と大学院生1名にお会いすることができました。

強行軍でちょっと体力的にも無理しながらも頑張った甲斐があって、期待以上の成果がありました。自動車部品メーカー2社からは、起業の暁には一緒に仕事する機会を前向きに探りたいというお言葉をいただき、さらに個人的に出資をしたいと言ってくださる方まで現れました。このスタディトリップで得られた知見と自信のおかげもあって、こちらに帰ってきて今週行ったVenture Formulationのクラスの最終プレゼンは、ジャッジのベンチャーキャピタリストや起業家の方にも大変好評でした。

次のステップとしては、2009-2011を準備期間としてその間にパイロットプロジェクトを実施するために、協力企業や出資者を集めることを考えています。そのため冬休みには、Sさん一人でもう一度日本に戻り、さらに色々な関係者とネットワーキングをすすめることになっています。

2008年11月4日火曜日

スタディトリップを敢行!

現在自動車業界では、急増する組込みエンジニアへの需要を、
  1. 社内または子会社
  2. 国内ソフトハウスへのアウトソースまたは派遣会社
  3. インド・中国等へのオフショア
で対応していますが、概して他業界に比べて2や3の取り組みが遅れています。1>2>3の順で円滑なコミュニケーションやクオリティの確保もしやすい反面、コストも高くなります。また、フレキシブルな労働力調整(現況では特に人員増加)が可能なのは逆に3>2>1の順になります。

そうすると、単純に言えば、2と同等または少し高いくらいのコストでも、1とほぼ同等のクオリティを提供できれば十分勝算があるといえそうです。そのためには、一番の工夫のしどころになるのが、高機能自閉症やアスペルガー症候群の人たちが本当に能力を発揮でき、それを顧客企業に評価してもらえるような環境・システムの作りこみだと考えています。
  • トレーニング
  • 業務プロセス
  • プロジェクトマネジメント体制
  • 顧客とのコミュニケーションインターフェース
  • オフィス環境
といった諸要素を、高機能自閉症やアスペルガー症候群の方の特性にあわせ、なおかつ顧客のニーズにより良く応えることができるように、根本から見直してデザインしなおす必要があります。

この数週間で日米の自動車業界、組込みソフト業界、それに自閉症支援専門家の方たちにインタビューをしまくって、「これは行けそうだ」という感触がだんだん強まってきました。しかしそうは言っても、やはり現場を見ないことには、どうにもピンと来ないことが沢山あります。

そのため、思い切って今月後半のサンクスギビングの休暇を利用して、Sさんと私で日本の自動車部品メーカーやソフトテスト会社を訪問することにしました。訪問先の企業から、いくつか見学OKとのお返事をいただき、目下日程を調整中です。

ただ、できるなら自閉症の方の就労支援に詳しい方と一緒にこうした現場を訪問できれば、収穫は数倍になるはず。この分野で著名な大学教授数人ともお話させていただいたのですが、生憎なかなか日程が合いませんでした。

というわけで突然ですがこの場を借りて、11月24日の週で、東京、大阪、名古屋の各地で、私たちと一緒に企業訪問をしてくださるボランティアを募集させていただきます。もしも、このブログをお読みの方のお知り合いに、

  • 自閉症者の就労支援の専門家(特に高機能自閉症、アスペルガー症候群)
  • 自閉症スペクトラム支援士
  • ご自身が高機能自閉症、アスペルガー症候群で、ソフトウェア開発のご経験がある方

がいらっしゃったら、是非ご紹介いただけると有難いです。

2008年10月26日日曜日

社会起業で、高機能自閉症の方のニーズに適合した職場環境を - その4

Thorkil Sonne氏が創ったSpecialisterneでは、トレーニング、オフィス環境、業務プロセス、それにコミュニケーション体制が、高機能自閉症やアスペルガー症候群の人たちの特性にあわせてデザインされています。こうして、高機能自閉症やアスペルガー症候群の人たちが持つ弱点をうまくカバーしつつ、強みを最大限に活かすことで、一般のデバッガーに比べて20%も高いパフォーマンスを発揮することを可能にしています。

このモデルを日本に持ち込もうする際に、私たちが現在着目しているのが車載電子機器・部品の組込みシステムやソフトウェアのデバッグです。
近年では、電気・電子機器の高度化・複雑化と、マイクロプロセッサやメモリの性能単価の下落が進んだ結果、より広範な分野で組み込みシステムが採用されるようになっている。洗濯機、炊飯器、テレビ、ビデオ、デジタルカメラ、プリンタ、コピー機、携帯電話、自動車、自動販売機、券売機など、身の回りにあるほとんどの機械には何らかの組み込みシステムが搭載されているといっても過言ではない。』
このように、組込みシステムや組込みソフトウェアの開発・検証に必要なスキルへの需要は急速に拡大しているのに対して、現在日本では全産業で約10万人の組込みエンジニアが不足しているといわれています。

特にこの問題が深刻なのが、自動車業界です。今や「走るコンピューター」とさえ呼ばれるほど自動車の電子化は進んでおり、車載電子機器・部品が車の製造コストの30-40%を占めています。こうした傾向は今後さらに加速することが見込まれており、組込みエンジニアの確保は業界全体の課題となっています。

私たちはここにチャンスを見出し、自動車業界に特化して、組込みシステムやソフトウェアのデバッグおよび検証を行うビジネスができないかと考えています。とは言え、実は困ったことに、私たちのチームには、自動車業界に詳しい人も、ソフトウェア・エンジニアリングの知識を持っている人もいないため、現在はこれらの業界関係者や自閉症支援専門家の方たちに必死で聴き取り調査をかけているところです。

2008年10月22日水曜日

社会起業で、高機能自閉症の方のニーズに適合した職場環境を - その3

高機能自閉症やアスペルガー症候群を持つ人たちのほとんどは、障害者手帳の交付対象とならないため、これまで雇用支援などの行政による支援の外に置かれてきました。厚労省は、やっと来年度から発達障害者の雇用にも助成金を出す方針を決めたようですが、「大企業は1人当たり年間50万円、中小 企業は1年半で90万円」という額が実際どれほどの効果をもつのかは疑問だと思います。

ほとんどの企業経営者にしてみれば、知的能力が高くても自閉症をもつ人たちについて「不可思議で、取り扱い困難な存在」という程度の認識しかないのが現実でしょうから、
  • 高機能自閉症やアスペルガー症候群の人たちが持つ特有の強みや弱点は何か
  • 彼らの強みをどうすれば活かす事ができ、逆に弱点はどのようにサポートすればよいのか
  • それをすることでどのようなメリットがあり、どのくらいのコストが発生するのか

ということを実例を見て納得してもらわない限り、助成金の果たす役割は極めて限定的になると考えています。

一方慈善団体による自閉症者への援助は、青少年やシニア層を対象としたものが大部分で、成人の場合は知的障害を持つ人に就労機会を提供する共同作業所などの取り組みが細々と行われているだけのようです。これらの活動自体は非常に有益なものだとは思いますが、高機能自閉症やアスペルガー症候群を持つ成人の雇用の問題は、ここでも見落とされがちです。

2008年10月21日火曜日

社会起業で、高機能自閉症の方のニーズに適合した職場環境を - その2

一方、夏休みの間、残ったメンバーで社会貢献価値市場のプロジェクトの今後をどうするか話し合いましたが、どうも意見がまとまりませんでした。主要メンバーの全員が、MBA卒業後は一般企業に一旦就職する(私の場合は元の職場に戻る)予定で、場所もアメリカと日本に分かれることになりますが、私たちのアイデアを実現しようとすると、大変な労力と中長期的なコミットメントが必要になるのは明らかです。この一年間だけでできることとなると、どうにも中途半端になってしまいそうで、議論が行き詰ってしまいました。

そこで思い切って、社会貢献価値市場のアイデアは一度寝かせておくことにして、その間Sさんの起業アイデアの具体化を手助けしようということになりました。私たちがSさんのプロジェクトに魅力を感じた理由としては、以下のような点が挙げられます。
  • 一人息子の将来を案じて、自分で現状を変えていこうとするSさんの思い
  • 障害を持つ人たちを保護の対象として見るのではなく、既製の環境では発揮しきれない能力を持った能動的な存在として捉える考え方と、その実例をつくってみせることによる社会的な波及効果
  • (前回のエントリーへ頂いたコメントにあった言葉を使わせていただくと)「人を組織に当て込むのではなく、組織を人に合わせて作っていく」という発想の逆転
  • 安易に政府や慈善団体の援助に頼らず、できる限りビジネスの視点から自立的で持続可能な解決策を見つけだそうとするアプローチ

そんなわけで、今学期はEntrepreneurship & New Venture Formulationのクラスを通して、Sさんと他の3人の仲間と一緒に、このビジネスプランの策定に専念しています。

2008年10月20日月曜日

社会起業で、高機能自閉症の方のニーズに適合した職場環境を - その1

社会貢献価値市場のプロジェクトを昨年から一緒に進めてきた仲間の一人に、日本人のSさんがいます。今年の6月だったか、その彼から「プロジェクトを抜けようと思っている」という話が出ました。理由をきくと、「高機能自閉症の人に快適な就労機会を提供する社会起業をしたいと考えていて、MBA二年目はその準備に集中したい」とのこと。

Sさんの息子さんは、昨年彼が渡米する直前に自閉症と診断され、現在も奥さんと息子さんは日本にいます。一口に自閉症といっても、症状の現れ方は様々です。一般的には自閉症というと知的障害を伴うイメージが広くいきわたっていますが、知的能力が低くない自閉症者も実は多く(一説には75%)、「高機能自閉症」とか「アスペルガー症候群」といわれます。この二つの厳密な区別は難しいのですが、Sさんの息子さんもそうしたケースです。

こうした人たちは、健常者と比べて全く遜色ない知的能力を持っていても、対人コミュニケーション能力が弱いなどの自閉症特有の困難を抱えているために、多くの職場では受け入れられず、失業率がとても高いのが現状です。

しかし、デンマークにあるSpecialisterneという会社では、高機能自閉症やアスペルガー症候群の人たちが持つ「繰り返し作業で発揮する高い集中力」、「微細な異変・異常を感知する鋭敏性」、「几帳面さ」といった能力を積極的に活用して、マイクロソフトやオラクルなどのソフトウェア会社からデバッグ業務を受託するサービスを提供し、ビジネスとして成功しています。実は、CEOのThorkil Sonne氏の息子さんも高機能自閉症で、彼らが生産的に仕事をできる職場を創りたいという思いから、Specialisterneを興したそうです。

SさんもSpecialisterneのモデルを基に、日本で会社をつくることはできないかと考えていました。