2009年12月8日火曜日

ソマリアの海賊=アフリカ版ロビンフッド?

東部&南部アフリカ11カ国を周っておりましたが、7月中旬から4ヶ月に渡った旅も無事終了。

バックパックを背負って安宿に泊まり、時にはヒッチハイク、時には長距離バスで移動しながら、訪れる先で70以上の企業や政府および非営利組織を訪れてインタビューをし、投資家や実業家、官僚、学者、社会起業家など100人以上の方々にお会いして話を伺うという貴重な経験ができ、実に多くの学びがありました。

で、先月中旬からはウガンダのベンチャーキャピタルで仕事を始め、(それなりに)安定したネット環境に復帰したはずなのに、すっかりこちらのブログが放置状態になっていました。仕事があるという言い訳もありますが、本当は何よりの元凶はTwitter。短い文章で気軽に書けて、すぐ反応があるのが楽しくて、ついついブログの方は後回しに。

ちゃんと整理して書き記しておきたいことは山ほど溜まっているのですが、まずは構えてしまわず、兎にも角にもまた書き始めることが必要だな、と思い、今回はTwitterで見かけたニュースをネタに軽く一本。
ソマリアで「海賊に投資し身代金報酬の分配を受ける」投資市場がオープン
という、一瞬目を疑ってしまうようなニュース。どこまで信じていいのかちょっと分からないものの、英語の元ネタはロイターで、全くのデマではなさそう。

この記事に寄せられたコメントには面白がっているだけのものもありますが、大体は「野蛮」だとか「時代錯誤」といった批判的な声。ただ、ちょっと待って欲しい。

もちろん海賊行為は違法行為です。それを正当化するつもりは毛頭ありませんが、これが本当だとすると、とても興味深い話です。

英語の元記事の方には、海賊が手榴弾を購入する資金を投資して、身代金の分配として75000ドルを受け取った寡婦の話が出てきます。手榴弾がいくらだったのか分かりませんが、彼女のようなこの地域の住民にとって、このお金はまさに虎の子だったはず。貧しい(と思われる)彼女がそれを投資するには、何よりこの投資市場に対する信頼があったということを示しています。つまり、投資した海賊がうまく身代金をせしめたら、インチキなしに約束どおり分配をしてくれるという信頼です。

この信頼関係が海賊(またはその投資市場)と地域住民の間に存在するということは、実はすごいことだと思います。預金サービスを始めたマイクロファイナンス機関が、多くの地域で苦労するのがこの信頼の問題です。貧困層の住民に、お金を預けたらちゃんと後で返ってくるということを、理解してもらうのには地道な営業活動と実績の蓄積が必要なのです。

ソマリアの海賊について、日本の大手メディアではあまりその背景について説明されていないため、何だか単にアフリカ人が前時代的な野蛮行為を働いているくらいの認識をされている方が多い気がします。詳しい話はこちらのTime誌の記事などを見ていただくとして、簡単に言うと、

内戦による国家体制崩壊

領地・領海の統治・警察能力喪失


漁場が荒らされ、元々伝統的漁業で生計を立てていた地域住民の失業、貧困化

という背景があり、海賊行為は(少なくとも当初は)、不法な外国漁船に対する自衛手段であり、生計を失った地域住民の窮余の策であったという見方もできるのです。

そのため、海外のメディアでは時にソマリアの海賊をロビンフッドのような義賊に見立て擁護するような声もあります。

こうした論調に安易に与するつもりはありません。ただ、一部の先進国では武器産業が発達し、傭兵が企業活動として行われる一方で、少しでも生活を良くしたいという願いから、海賊に投資して利益を得るソマリア人を、単純に「野蛮」だと切り捨てたところで何も解決しないのではないでしょうか。

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2009年10月20日火曜日

南アフリカに来ています

9月中旬にルワンダを発ち、ケニア→マラウィ→ザンビア→ジンバブエ→ボツワナを経て、今は南アフリカのヨハネスブルグに来ています。(アップデートが滞ってますが、各国でのミーティングのメモは英語ブログの方にぼちぼち載せていきます。)

今週は、南アフリカのプライベートイクイティやベンチャーキャピタルの人たちを中心にネットワーキングをし、来週からはモザンビークやスワジランド、レソト、それに南アフリカのダーバンやケープタウンを巡る予定。

また、来月中旬からは、私が所属するコンサルファームからの出向という形で、African Agricultural Capital (AAC)で、4ヶ月ほど仕事をすることになりました。7月にウガンダを訪れたときにこのブログでもご紹介しましたが、農業関連中小企業への投資に特化したベンチャーキャピタルです。

アフリカ諸国を旅行し、事業家や金融業者、それにノンプロフィットおよび政府関係者たちと会って話しをする中で、
  • 零細個人事業主向けのマイクロファイナンスと、中~大規模企業に金融サービスを提供する既存金融機関(銀行、プライベートイクイティ&ベンチャーキャピタル)の狭間で、見落とされてきた中小企業向け金融(いわゆる「Missing Middle」の問題)の、経済発展における重要性
  • その中でも特に農業関連事業向けの金融サービスの欠如とその難しさ
  • アフリカの経済における農業の重要性と今後の成長余地の大きさ
が、自分の中で大きなテーマとして浮かび上がってきているところですので、今回AACでChief Business Development Associateとして仕事ができるのは、この辺りを掘り下げ、今後の展開につなげるにはこれ以上望むべくもない絶好の機会です。学べることは全て吸収しつくすつもりで、全力投球で行きたいと思います。

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2009年9月16日水曜日

ホームステイ

ルワンダでの最初の4週間は、UOBのスタッフのDanielさんの家族とホームステイさせてもらいました。

途上国での長期滞在は、これまでにも何度か経験がありますが、ホームステイをして現地の人と寝食、出退勤をともにするのは今回が初めて。

食事は出されたものを何でも食べる方ですし、お湯が出なかったり、水がにごったり、断水や停電が起きたり、きれいなタオルがなかったりなんてことにも慣れているので、特に不満はありませんでしたが、一番の悩みの種は出退勤時の交通手段でした。

お金を出せば、オートバイタクシーや普通のタクシーもありますけど、庶民の足は何と言ってもバス。ダウンタウンにあるオフィスから、Danielさん宅まで、車で約15-20分ほど。それを、バスを乗り継いでいくと300ルワンダフラン(約50円)、オートバイタクシーで1000フラン(約170円)、普通のタクシーだと4000-5000フラン(約700-900円)します。

ホームステイしている間は、Danielさんの行動に基本的に従うことにしたので、彼がバスに乗る時は私もバスに乗りました。しかし、このバスが、とにかく当てにならない。5分間隔で来たかと思えば、1時間以上来なかったりもする。

絶対的な供給量が少ないので、ピークの時間はバスが来ても、すでに満員で乗せてくれない。席が残っているバスがやっと来ると、我先にバスに乗り込もうと必死の競争になります。並ばないし、ぴったりここに停車すると決まっている場所があるわけでもないので、それこそカオス状態。少しでも遠慮なんてしてたら、本当にいつまでたってもバスに乗れません。

と、まぁそんな訳で、夕方6時に退社して、家にたどり着くのが9時なんてことも何度かありました。全く予測できませんので、肉体的にも精神的にも疲れます。

首都キガリで会社勤めをしていて、自家用車を持っていない人は、誰も一様に、交通手段について不満を述べます。国としても、 生産的なことに費やすことができたはずの国民の時間が大量に浪費されているわけですから、大きな非効率であり、経済的損失でしょう。

こういう環境では、会社をつくってバスの供給量を増やすだけでも大いに社会的意義のある「ソーシャルビジネス」と言えるのかもしれません。

P1000326
Danielさんの長男Shemaくん

考えてみると、私がこれまで途上国に滞在したときは、仕事で、移動の足はいつも用意されていたか、短期の旅行で、現地の人が高くて気軽に使わないようなタクシーもあまり気にせず使ってしまうか、という感じでした。

フィジーやミャンマーで仕事をしていた時に、同じオフィスで仕事をする現地スタッフが、どれほど交通手段のために苦労しているか、私はちゃんと理解できていなかったと思います。自分の想像力・共感力の不足に反省。

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2009年9月14日月曜日

マイクロファイナンス銀行でのインターン

キガリ市内のUOB本店

先週金曜日で、ルワンダでのインターンを無事終えました。

6週間インターンをしたUrwego Opportunity Bank (UOB)は、ルワンダでは最大のマイクロファイナンス機関 (MFI)で、世界的なマイクロファイナンスのグループであるOpportunity Internationalの系列。私がいた短い間にも、Kivaからの審査員が訪れたり、アメリカの国会議員の一団が視察に来たりと、外国からも注目を浴びているのがよく分かりました。

商業銀行になってまだ日が浅く、あまり会社の方針やマニュアルが文書化されていないものが多いため、それらを整備するためCEOの手伝いをしたり、銀行が支店を出していない地方向けに車で巡回支店を始めるプロジェクトの実行可能性予備調査を行ったりといった業務を担当しました。

平均的なMFIと比べるとしっかりした体制でやっている方らしいのですが、率直に言って、今回のインターンシップの最大の収穫は、「MFIってこの程度のものか」っていうのが体感できたことでした。

マイクロファイナンスという概念がいまだ耳新しい日本では、何か魔法のように素晴らしい貧困削減の万能薬でもあるかのように語られることが多い気がしますが、限界もあれば問題もあるのは当たり前のこと。

マネジメントの未熟さとか、業務改善の余地といったものを、日々の業務の中で実際に目で見て、その限界や課題が腹に落ち、まだ自分の中で微かに残っていた「マイクロファイナンスの神話性」のようなものを払拭できた気がします。


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2009年9月7日月曜日

Kaien、始動

ケロッグ経営大学院にMBA留学する直前に、息子さんが自閉症と診断された鈴木慶太さん。

彼の「自閉症を取り巻く社会の現状をどうにかして変えたい」という、真剣な思いと行動力に引き寄せられ、ビジネススクールの仲間や、多くの外部の専門家、それに応援してくださる方々が少しづつ周囲に集まって来て、Kaienは始まりました。


Kaienlogo
Kaienのロゴもリニューアル

この夏、主要メンバーがケロッグを卒業して、Kaienの勢いは加速中です。
  • 先月東京で開かれた、MBAnoWA主催の日本人MBA留学生を対象としたビジネスプラン・コンペティションで優勝
  • 大手IT企業で自閉症の方を雇用する新規プロジェクトにKaienがコンサルティング業務などで支援することが内定
  • 法人化準備も進んでおり、今月末には株式会社Kaienを設立の予定

さらに、今月末には、アカデミーヒルズでCEOの鈴木慶太さん(Kaien共同創業者として言わば身内ですが、このブログは私の個人的なメディアですので、これからも「さん」づけで呼ばせてもらいます)が、1時間半ほどの講演をさせていただくことになりました。

ケロッグ経営大学院 モーニング・セッション
変貌するMBA 社会起業のうねり
~全米ビジネスプラン・コンペティション優勝者による体験談~

  • 日 時: 2009年9月25日 (金) 朝 8:00~9:30
  • 場 所: アカデミーヒルズ49 (六本木ヒルズ森タワー49階)
  • 会 費: 4,000円(サンドイッチ・コーヒー代が含まれます)
  • 申込み: 件名に『ケロッグ・モーニング・セッション8』と記載の上、ケロッグ経営大学院日本同窓会・事務局まで、メール【kellogg@arc-c.jp】にてお申し込みください。(アカデミーヒルズのホームページ経由の申し込みはすでに満席になっております)
  • お問い合わせは『アカデミーヒルズ・六本木スクール事務局』までお願いします。(電話:03-6406-6200、受付時間:10:00-19:00 土・日・祝・年末年始を除く)

鈴木慶太さんからのメッセージ

このセッションでは、息子が自閉症に診断されてからビジネススクールの仲間たちとビジネスプランを書き上げ、起業にいたるまでに体験したエッセンスを、「MBAと社会起業」というコンテクストの中でお伝えしようと思います。
このセッションをお聞きいただけば、Kaienのプロジェクトが何を目指して始まり、アメリカのMBA生や社会起業支援家に評価・批評・支援されるなかで、どのような変遷を遂げて創業に結びつこうとしているのかが、良くお分かりいただけるものと感じています。セッションの最後には鈴木とQ&Aの時間も数十分ほどとっていますので、Kaienに対する質問などをお気軽にしていただける機会にできればと思います。
会場が六本木ヒルズということで場所柄、高い会費になり恐縮です。今のところ席に若干の余裕がありますが、是非お早めに申し込みください。

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2009年9月6日日曜日

Twitterの活用法 - わたしの場合

前回に続いてTwitterネタです。試みに今回初めて使ってみた読者アンケートには、7名の方が答えてくれました(ちょっと寂しい。。)が、結果は
  • 何それ? 1人
  • アカウントをつくっていない 1人
  • アカウントはつくったが、あまり使っていない 3人
  • 実はツイッター中毒です 2人
と、やっぱりまだTwitterを活用されていない方が多い様子。是非皆さんにもTwitterの情報の滝にうたれる心地よさを味わってみて欲しい!、ということで、今回は私の場合のTwitter活用法をご紹介したいと思います。
  • リアルな知り合いだけでなく、業界の著名人などを気軽にフォロー。その人たちがフォローしている人や、フォローされている人も分かるので、面白そうな人がいればどんどんフォロー。
  • 興味を惹かれるつぶやきには、相手のアカウントネームの前に@マークをつけて返信したり、転送(RT = Retweet)します。
  • そうしているうちに、自分のつぶやきをRTしてくれたり、返事をくれる人が出てきて、フォローしてくれたりもします。お互いにフォローしあうようになれば、Direct Message (DM)で他の人には見られずにやり取りもできるようになります。
  • 数アカウント持って使い分けている人もいますが、私は面倒なので一アカウントだけ。Twitterでは基本的に英語ですが、日本語でも(あと、ほんのたまーに韓国語でも)つぶやいてます。
  • 日本語は、思考の断片を書きとめておくと言う用途が主。
  • 英語は、気になった情報を片っ端からメモする感覚で、RTすることが多いです。
  • 私はmixiにこのブログの更新情報が流れるようにしていますが、同様にTwitterでのつぶやきはFacebookに流しています。
  • 写真や、英語で長くなる文章は、Tumblrを使っています。Twitterとの相性がよく、Tumblrで書いたものが即Twitterに流れるようにできます。
  • 因みに私の中では、Twitter → はてなブックマーク → Tumblr → 本ブログという順に情報の精製度合いが上がっていく感じで使っています。つまり、Twitterではちょっと興味深い情報は何でもRTしますが、その中でもとっておきたい情報ははてなブックマークを使って保存、さらに自分の興味のド真ん中に近いものはTumblrの英語ブログにスクラップしています。日本語ブログをつけている主な目的は、自分の思考をまとめるためですが、日本語より英語の方が言い回しとかあまり気にしないで楽に書けるので、英語ブログは本ブログのネタにするかもしれないことを未調理のまま書いておいたりもします。
  • Twitterを本格的に使い始めて、シンプルすぎるTwitterの機能に不満を感じるようになったら、TweetDeckiPhone用もあります)がおすすめ。SettingsのColors/Fontタブで、International Font/TwitterKeyを選択するのを忘れずに。
と、まぁ雑然としていますが、こんな感じで使っています。他にも皆さんのお勧めの活用法やコツ、テクニックがあったら教えてくださいね。

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