2009年3月14日土曜日

ブラジル映画

今週で冬学期の授業も終わり。まだレポートがいくつか残ってますが、何はともあれ来週からは春休みです!

昨年の春はGlobal Health InitiativeのHIV検査装置市場調査プロジェクトでタンザニアに行きましたが、今年も春休み返上して、Independent Study(自主研究)のプロジェクトでブラジルに行ってきます。BM&F BOVESPA(サンパウロ証券取引所)が、ソーシャルビジネス向け株式市場の創設を企図しており、私たちのプロジェクトはゼロベースでその制度設計を行うというもの。

現実のニーズに合致した金融商品や制度を設計するには、その国の社会・経済の事情を理解していないといけませんが、ブラジルにはこの年末年始にかけて2週間ほどリオに滞在しただけ。ということで、少しでもブラジルに関する理解を深めたいと思い、レポートやネット上で得られる情報を読むだけでなく、最近は暇を見つけてはブラジル映画を見まくっていました。

以下、私が見た全12タイトルの独断ランキング。

  1. City of Men (TV版): 2002年から2005年にかけてブラジルで放映され、国民的人気を博したTVシリーズ。1話30分、全19話。次に紹介するCity of Godを大ヒットさせたKátia LundとFernando Meirellesの監督コンビによる作品で、舞台も同じリオデジャネイロのスラム街。City of Godよりも軽快でコミカルなタッチで、アセロラとラランジーニョという二人の少年の成長過程を追いながら、ブラジルの抱える様々な社会問題についても考えさせてくれる。ブラジルを訪れる全ての人におススメしたい。
  2. City of God: 2004年のアカデミー賞で4部門にノミネートされ、最近のブラジル映画では国際的に最も有名な映画なので、今さら説明もいらないだろう。90年代前半の最も荒れていた頃のリオのスラム街を舞台にしており、暴力や犯罪を正面から扱いながらも、スラム街に住む人々の生活を複層的に描いている。映像も、なかなか見せ方を工夫していて、飽きさせない。
  3. Four Days in September: 1969年に軍事政権下で起きたアメリカ大使誘拐事件を題材にした映画。97年のアカデミー賞外国語映画部門ノミネート作品。
  4. Favela Rising: 音楽を通じてスラム街の青少年たちを育むAfroReggaeというグループを題材にした、ドキュメンタリー映画。主人公のAnderson Sáの人生は、できすぎじゃないかと思うくらい、とにかく劇的で、時にボブ・マーリーを髣髴させるほど。彼と共に行動し、支えあう周囲の仲間たちの信頼と友情も素晴らしい。
  5. Bus 174: 地味ながら丁寧につくりこまれたドキュメンタリー映画で、見たあと考えさせられずにはいられない。2000年にリオのダウンタウンで起きたバスハイジャック事件を題材にしながら、その背景にある社会問題にスポットライトを当てていく。
  6. City of Men (映画版): 映画版はTV版から2年後のアセロラとラランジーニョを描く。これはこれで十分楽しめるんだけど、映画化にあたってCity of Godをちょっと意識しすぎたのか、ブラジル社会の様々な側面を、時に面白おかしく、時に深刻に見せてくれたTV版の絶妙のバランスは崩れてしまっている気がする。
  7. The House of Sand: ブラジル北東地域の海岸部の砂漠が舞台。1910年から1969年にわたり、母・娘・孫娘三代の物語が、叙事詩的に淡々と進んでいく。個人的には、こういう映画嫌いじゃない。
  8. Chronically Unfeasible: ウィットのきいた社会的な警句を織り交ぜながら、ブラジルの色んな地域の色んな人たちの話が交錯する。どこかウッディ・アレンの作風に通じるものがあるかも。
  9. The Middle of The World: 貧しい北東部から、仕事を求めてリオデジャネイロを目指し、自転車で旅をする7人家族に関するロードムービー。ちょっと偏屈でプライドが高いお父さん。やさしいお母さん。お父さんとなんだかソリが合わない長男。見た後、少しほろ苦く、少しほのぼの。
  10. Almost Brothers: 黒人のギャングと、白人の政治運動家。幼なじみの二人の人生は、離れては交差し、交差してはまた離れていく。人種、階級、政治、家族、友情、色んな要素が錯綜しながら物語が展開するが、なんだか結末があっけなさすぎ。
  11. Antonia: サンパウロのスラム街に住む四人の幼なじみの女の子たちが、歌手をめざし、挫折し、またもう一度力を合わせて夢に向かって走り出す…的なお話。あまりひねりも無く、やや平面的な印象。
  12. Ile Aiye (The House of Life): アフリカにルーツを持ち、ブラジルの特に北東部で盛んな、Candombléという宗教/文化に関するドキュメンタリー映画。儀式の様子はハイチで見たブードゥーの儀式に似ている。昨年の大晦日、リオのコパカバーナ海岸で、海の神に向かって花束を捧げている人たちを多く見かけたが、あれも多分Candombléに関係あるのかな。

恥ずかしながら、私はこれまでブラジル映画を一度も見たことが無かったのですが、全体的にクオリティが高く、感嘆させられました。

2 件のコメント:

  1. 今度はブラジルですか、羨ましいです。ブラジル映画は恥ずかしながらCity of Godと黒いオルフェ(正確にはブラジル映画ではない。。。)しか見たことありませんが、音楽は結構好きです。Caetano VelosoとGilberto Gilが個人的にはお勧めです。
    GO

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  2. > GOさん

    ブラジル音楽いいですよね!

    。。って、「Caetano VelosoとGilberto Gil」とは、さすがに玄人好みですね。

    私の場合、特にお気に入りはボサノヴァで、年末にリオに行ったときもCD買いこみました。

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