2008年11月8日土曜日

Kivaの創始者からのフィードバックと、Ashoka Fellowとの協働プロジェクト

今学期は、高機能自閉症の方を雇用する社会起業プロジェクトにフォーカスをシフトしていますが、平行して「社会貢献価値」市場プロジェクトの方もぼちぼち仕込んでいます。自分たちのアイデア自体にエキサイトしていた段階から、一歩退いて、様々な人からフィードバックをもらいながらアイデアを「発酵」させている状況といえるかもしれません。

先月Kivaの創始者のJessica Jackley Flanneryさんが、Innovating Social Change Conferenceでの基調講演のためにKelloggを訪れた時に、少しお話をする機会があり、私たちの社会貢献価値市場プロジェクトについてもちょっと触れたところ、関心を示してくれました。そこで、メールでコンセプト説明資料とビジネスプランの草稿を送ったのですが、主に

  • 需要サイド(Social enterprises)、供給サイド(Social investor/Donor)の双方に、このような斬新な社会金融システムへのニーズが本当にあるのか、という疑問に対して説得力がまだ不足している。この点を補うためにも、Kivaを含む既存のプレイヤーが持つ長所と欠点のより詳細な分析を示す必要がある。
  • 現在のビジネスプランでは富裕層をまずターゲットとすることになっているが、もっと幅広い層の参加を促進するための工夫はできるのではないか。
という二点のフィードバックを頂きました。Jessicaさんは、
『To be clear, I think this is quite good! Just wanted to provide some feedback that may illuminate ways to make the doc even better.. Hope this is helpful and pls keep in touch as things develop.』
と言ってくれているので、今後また改良を加えた後に相談にのってもらえればと思っています。

来学期(2009年1月~3月)には、ブラジルのサンパウロ証券取引所(BOVESPA)が開設しているEnvironemntal and Social Investment Exchangeの発展型を開発するというプロジェクトをAshoka FellowでもあるCelso Greccoさんと一緒に実施することが決まりました。このプロジェクトはThe Global Exchange for Social Investment (GEXSI)との提携により実現したもので、フィールドトリップの旅費はKelloggのThe Carol and Larry Levy Social Entrepreneurship Labから支援をうけることになっています。

この一年間で、このまだ狭い「業界」の色々な人と話をしてきました。そのうちの多くの方が、「"Social Stock Market"を創ろうという掛け声のもとにこれまで出てきた他のどんなアイデアよりも、独創的で、良く練られている」と言ってくれる一方で、「ただ時代の先を行き過ぎていて、実現するには大いに難航する可能性がある」という懸念を示しました。事業コンセプトを、机上の空論を離れ、できる限りシンプルで実践的な形に進化させていかないとならないわけですが、BOVESPA/GEXSIとのプロジェクトは、そのためにも絶好のlearningができそうなチャンスになりそうです。

3 件のコメント:

  1. 色々と頑張っているようですね。

    私の考えから申し上げますと、市場で成立している社会価値の高いものと、市場で成立しない社会価値の高いものをどうやって投資家が、分別するかという点です。

    現代では、前者の方にマーケットは動くと思います。つまり、生産性の高いものの方が、富の分配は、中流層以上には、行われるだろうという点です。これは、非常にナーバスな問題だと思います。

    まあ、先を行き過ぎているとはよく言ったものだと思います。

    そして、投資というものが、もっている経済の矛盾にも目をつけた方がいいです。株式、国債、為替などのビジネスがなぜ成立するのか。投資の矛先が生産性の低いものになれば、マーケット全体が委縮するということです。これは、資本主義の問題点です。今日の金融混乱で分かるように、金融は、矛盾点を露呈しました。多くの人は、やはり失敗したかという考えです。

    これらの状況を考えないと、無駄骨です。がんばってください。

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  2. < 岩間さん

    そうですね。まぁ、ただ金融の矛盾点が露呈したのは、今回が初めてじゃないし、第一、矛盾のないシステムなんてもんは存在しませんからね。矛盾を抱えたシステムをどううまく使いこなしていくか、よりよく機能させるためにはどのような工夫を加えていくか、という不断の努力が必要とされるわけで。今回の混乱も、破壊的創造のプロセスの一過程にすぎず、金融が社会で果たして行かなくてはならない役割は依然として大きいと考えています。

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  3. 破壊的創造、もとい創造的破壊でしたね。

    今回の金融危機では、個人的にもすさまじい破壊的打撃を受けているもので・・・

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