2008年10月21日火曜日

社会起業で、高機能自閉症の方のニーズに適合した職場環境を - その2

一方、夏休みの間、残ったメンバーで社会貢献価値市場のプロジェクトの今後をどうするか話し合いましたが、どうも意見がまとまりませんでした。主要メンバーの全員が、MBA卒業後は一般企業に一旦就職する(私の場合は元の職場に戻る)予定で、場所もアメリカと日本に分かれることになりますが、私たちのアイデアを実現しようとすると、大変な労力と中長期的なコミットメントが必要になるのは明らかです。この一年間だけでできることとなると、どうにも中途半端になってしまいそうで、議論が行き詰ってしまいました。

そこで思い切って、社会貢献価値市場のアイデアは一度寝かせておくことにして、その間Sさんの起業アイデアの具体化を手助けしようということになりました。私たちがSさんのプロジェクトに魅力を感じた理由としては、以下のような点が挙げられます。
  • 一人息子の将来を案じて、自分で現状を変えていこうとするSさんの思い
  • 障害を持つ人たちを保護の対象として見るのではなく、既製の環境では発揮しきれない能力を持った能動的な存在として捉える考え方と、その実例をつくってみせることによる社会的な波及効果
  • (前回のエントリーへ頂いたコメントにあった言葉を使わせていただくと)「人を組織に当て込むのではなく、組織を人に合わせて作っていく」という発想の逆転
  • 安易に政府や慈善団体の援助に頼らず、できる限りビジネスの視点から自立的で持続可能な解決策を見つけだそうとするアプローチ

そんなわけで、今学期はEntrepreneurship & New Venture Formulationのクラスを通して、Sさんと他の3人の仲間と一緒に、このビジネスプランの策定に専念しています。

6 件のコメント:

  1. 息子が高機能自閉症で今18歳です。
    就職や自立について色々考えてる所です。
    参考にさせて下さいねっ

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  2. > keiさん

    自閉症の方、そのご家族や周囲の方々から、今後もっと色々と学ばせていただかないとならないと考えていますので、こちらこそよろしくお願いいたします。

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  3. はじめまして。
    mixiのコミュから参りました。

    発達障害の人にはアインシュタインなどのように、同時に不世出の天才だった人もたくさんいますね。

    世の中が変革や創造を求めているのであれば、こうした発達障害の人に対しもっともっとチャンスを与えられればと思います。

    かく言う私も天才でこそないものの、診断書付きの発達障害。

    幼少から対人関係に悩んだり転職を余儀なくされたこともありました…

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  4. > akihiroさん

    正直、私もこのプロジェクトを始めるまで、自閉症などの発達障害と知的能力は全く異なる軸で、発達障害の天才もいれば、発達障害と知的障害の両方を持っている人もいるということを知りませんでした。

    この社会起業の話、相当本気なんで是非応援してくださいね。

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  5. s様から東京都アスペルガー部会で明日起業しますとお話を窺いました。丁度息子が郵便局のシステムのバイトをしておりましたので大変納得致しました。
    現在は研究室には毎日行きますが就活意欲に欠け家族は将来を考えると暗澹とした気持ちになりますがspecialisterneは私共に希望の光を差し込んでくれました。

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  6. > 匿名さん

    まさしく息子さんのような方に、意欲を持っていただけるような一つのモデルを提示できればというのが私たちの目標ですので、そう言って頂けると大きな励みになります!

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