しっかりした運営方針を持つ非営利団体がキャパシティ以上の寄付を断るというのは、実はそれほど珍しい事ではないのですが、注目を集めているKivaだけに話題性が高いということで記事になったのでしょう。
これを読んだときは、「さすがKiva、資金供給が激増しているからと言って、安易にパートナー選択の基準を緩めたりせずに真面目な良い仕事をしてるんだな」程度の感想を抱いただけでした。
ところがその後、Financial Timesでもフィランソロピーに関する連載コラムを持つSean Stannard-StocktonのTactical Philanthropyというブログで、この話題に関する大変興味深い議論のやり取りが展開されています。
詳細な内容にご関心のある方はTactical Philanthropyの方をご覧頂くとして、主な論点としては以下の二つ。
- 「売切れにするのではなく、他の類似サービスに紹介する義務があるのではないか」 ← 証券取引所ではこのような規則があり、実際に非営利の世界でも、GlobalGivingでは必要に応じてそのような紹介を行っているそうです。
- 「サービスへの需要が高くて売り切れるのならば、市場論理に従い価格調整によって需給のバランスを取るということも一考に値するのではないか。つまり、貸し手の資金が100%借り手に渡る現状から、10%をKivaがサービス料として徴収し、それをボトルネックとなっているパートナーMFIの開拓のための資金に充てるということはできないか」 ← これに対しKivaは、「10%のサービス料では焼け石に水だし、第一P2Pの根本価値を損ねる」と回答しています。
この一件は私が友人たちと取り組んでいる「社会貢献価値」取引所の設計にも、大切な示唆を与えてくれます。
何よりも、Kivaユーザーのコメントからも明らかなように、
- 善意の実質的な結果をその提供者に伝達する仕組み
- 人々の善意を一回毎の使い切りにするのではなく、循環できる仕組み
に対する需要がいかに大きいか、あらためて認識する良い機会になりました。
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