2008年1月7日月曜日

Got the blues? - 恨(ハン)とブルース

昨年に続いて、今年もまたシカゴのブルース・ハウスBuddy Guy's Legendsに行ってきました。毎年1月にはバディー・ガイがシカゴに戻ってきてBuddy Guy's Legendsでライブ公演をします。ショーマンシップ旺盛な彼のライブは最高にクールで、シカゴ・ブルースの真骨頂を楽しめます。1月にシカゴにいらっしゃる機会があったら、絶対オススメです。

ところで思ったんですけど、文化的概念としての「ブルース」って多分韓国の「恨(ハン)」によく似ている気がします。人生の苦しみ、悲しみ、辛さ、妬み、怒り、嘆き。よく日本での「恨」の説明として、そうしたネガティブな感情にだけ言及するものが見受けられますが、これはちょっと単純化しすぎだと思うんです。例えるなら、日本の「侘び」という概念を「粗末さ」と説明してしまったり、「をかし」の意味は「面白い」だと言ってしまうくらいに。

イム・グォンテク監督の『風の丘を越えて-西便制』という映画に「恨をつむことが生きることで、生きることが恨をつむこと」という台詞が出てきます。「恨」は、人が生きる中で経験するやらしさ、きたならしさ、不条理から目を背けるのではなく、そうしたものに抱く様々なネガティブな感情とか鬱憤ややるせない気持ちを見つめ、わだかまり、泣き笑い、思い通りにならない現実をどうにかしたいともがき、叫び、惑い、さらにはそうした希望と絶望とがないまぜになった人生の深い襞や綾をある意味愛しんでしまうという心情であり、精神文化です。

そういう意味で、日本の「業」や「憂き世」の概念にも一脈通じるところがあるかもしれませんが、「恨」は日本のものより、何というかもっと粘度が高くて動的なイメージで、やはり「ブルース」にとてもよく似ていると思います。

5 件のコメント:

  1. あけましておめでとうございます。
    いつもブログを楽しく拝見させていただいています。有難うございます。

    Buddy Guyしびれますね~!!
    さすがアメリカ!
    かっこいい人が集まってますね。

    ヒラリーとオバマ、どっちがすごいとかは
    わかりませんが、なんとなく羨ましいです。

    日本にも魅力的な政治家はいるんですが、
    きっとほとんどの国民が知らないんでしょうねー!

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  3. > 西音頭さん

    魅力的な政治家、日本にもいると思いたいものですが。。ほとんどの国民に知られていないとしたら、それは国民やメディアのせいだけでなく、その政治家にも責任がありますよね。「魅力」というものは、相手に認知されなきゃそもそも意味がないわけですから。

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  4. はじめまして!
    cloudgrabberさんのProfileに書いてある「社会起業インフラ」についての説明を見たことで、自分の中に新しい考え方が芽生えたので嬉しく思っています。
    眠っている欲求を昇華させるには効果的に充足させるための仕組みが必要であると。
    魅力的な政治家が今いるとして、国民に認識されていないのはその政治家にも責任があると思いますが、魅力的な政治家を目指す人が政治家になりにくいとしたら仕組みのせいだと思いますね。彼らの「日本を良くしたい!」という欲求を汲んであげたいところです。
    今後も楽しくブログを拝見させてもらおうと思います。よろしくお願いします。

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  5. > KERAさん

    はじめまして。コメントありがとうございます!

    「魅力的な政治家を目指す人が政治家になりにくいとしたら仕組みのせい」というのはそのとおりで、これが私が1月4日のエントリーで述べた"A"の可能性にあたります。誰に聞いても今の政治に満足している人はいないと思いますが、問題を分解して、root causeの所在を明らかにし、そこを変える仕組みを作っていかないと、事態は先に進みませんよね。

    KERAさんがプロフで言っているとおり、「重要なのは自分で考えること」。そして、自分の考えにしたがって動きはじめること。

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