長い間飢餓に苦しんで来たマラウィ。しかし、New York Timesの"Ending Famine, Simply by Ignoring the Experts"は、今年は豊作で、食糧輸出に転じており、ユニセフの救援用備蓄食糧もいらなくなって他国に移転されるほどだと報じています。豊富で安価な食糧は、社会の発展に極めて有益です。
理由は単なる好天候だけではなかったようです。80-90年代に世銀の単純な自由市場主義的な提言にしたがって採ってきた政策を覆し、政府による肥料の補助金制度を導入したのが奏功したのです。世銀自身が最近の調査で認めた形になりました。
環境至上の立場からすると、化学肥料の使用に対して異議もあるかもしれませんが、人が餓えている状況を解決するのがまず先決。
最近の社会起業家への関心の高まりは、とても良いことだと考えています。ただ、それと時を同じくして、市場原理を徹底させれば世界の全ての問題が解決するかのようなナイーブな論調も目に付きます。そこでは、これまで政府や非営利組織が扱ってきた分野に、「優れた」市場原理を持ち込む尖兵のような扱いで、社会起業家が語られます。
マラウィの成功はそうした幻想への反証ともいえます。
市場と政府と市民社会はそれぞれ異なる強みを持ち、互いに補完しあわなくてはなりません。社会起業家の役割は、その補完関係に穴が空いているところを見つけて、ほころびを縫い合わせてあげること。
市場の効率とスケーラビリティ、政府の正統性と強制力、市民社会の公正性と開放性。これらの利点を縦横無尽に活用できる柔軟さとしたたかさがないと、前進はありません。
2007年12月14日金曜日
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アフリカへの注目度が高まってるんだねえ。 日本からだと距離があるから政府機関の援助も形式のみになってしまうようでチュニジアのJICAも苦労しているようです。 やはりヨーロッパの影響力は強い。
返信削除日本でも、これから徐々にアフリカに対する新興国経済としての認知が高まるかも。
返信削除広瀬隆雄さんっていう一本筋の通った投資ブログで人気の方が、楽天証券でシリーズのリポート書いてます。ご参考まで。
http://plaza.rakuten.co.jp/isbrics/
P.S. チュニジア旅行記、見たよ。楽しそう!!