2008年1月13日日曜日

サンフランシスコでのネットワーキング - その1


今月初め、社会貢献分野の組織・企業とのネットワーキングのため、ビジネス・スクールの仲間たちと一緒にサンフランシスコに行く機会がありました。 運悪く、数年に一度という規模の暴風雨がちょうどサンフランシスコを襲っており、びしょ濡れになりながら、この分野で様々な活躍をしている人たちに会ってきました。

まず初日に訪れたのは、3ヵ所。

1. WestEd

教育の分野で米国有数のNGO。中立的な立場から、教育制度に関するリサーチや、教育プログラム/カリキュラムの開発だけでなく、実際にその運営をするところまで手がけています。

マネージャーやディレクターの方とお会いして話を聞いた中で面白かったのは、この業界にはいってくる人は教育改革に情熱を燃やしている人が多く、新しいプログラムの開発には熱心だが、それを実際に普及させる段になると興味を失ってしまう場合が多いとのこと。なにげにエゴの強い人が多いソーシャルセクターでは、ままありがちな話ですね。

それにしても、日本ではこれだけ大規模のNGOというのはあまり見かけません。WestEdが埋めているニッチは、日本では独立行政法人だとか社団法人とかの、多くは天下り官僚の受け皿でしかない組織によって占められてしまっているのでしょう。

2. REDF 

ファンドの世界では知らない人はいないKohlberg Kravis Roberts & Co. (KKR)というプライベート・イクイティ・ファームの創始者の一人、George Robertsにより設立されたベンチャー・フィランソロピー・ファンド。

ベンチャー・フィランソロピーは、簡単に言うとベンチャー・キャピタルの手法をソーシャル・セクターに持ち込んだもので、日本での主だった例としては、今のところソーシャルベンチャー・パートナーズ東京くらいだと思います。結果(社会的価値の創出)にこだわり、従来の慈善財団のように社会的なプログラムにお金を出すだけでなく、組織基盤強化のための資金や経営アドバイスも提供するというモデルで、REDFはその中で最も成功している例の一つとして知られています。

サンフランシスコ・ベイエリアの雇用促進による貧困削減にフォーカスを絞り、対症療法的なプログラムでなく、問題の根本原因の解決に取り組むというアプローチを明確にしています。社会的インパクトの計測にも力を入れており、特にSocial Return on Investment (SROI)の開発で有名。

3. Clif Bar

アメリカではそれなりに有名なシリアル・バーの会社。CSRに力を入れているということで訪れたのですが、これがちょっとした衝撃でした。

正直に言って、私はいまだにCSRというものに少し胡散臭さというか中途半端なあやふやさを感じています。企業はあくまで利潤を最大化するための組織形態であって、ブレンデッド・バリューとかダブル・ボトムラインとか言ったところで、利潤以外の価値はあくまで二の次、またはリップサービスでしかないと思っていました。(別にだから悪いとかいうことではなく、それが企業の本来のあるべき形であるということです。)

しかしClif Barを知って、少し認識が改まりました。利潤を出す企業かどうかというのは、それほど意味のある分類ではないのかもしれない。大事なのは組織のDNAであり、文化であり、インセンティブ・システムだと。

なにしろ、社員の福利厚生から、商品の企画・開発、それにマーケティングや配送まで、徹底して社会的価値を追求しており、まさしく経済的価値と社会的・環境的価値の両立が組織のDNAに組み込まれているんです。

CSRというのは、corporate social responsibility(企業の社会的責任)ですから、社会的要請にresponseすることであり、つまり受動的なんですね。しかしGary Ericksonが設立したClif Barは、積極的に社会的価値を創出することが最初からミッションに織り込まれていますから、CSRを超えてまさしくsocial enterpriseです。

とは言っても、Clif Barがこれをできるのは、未上場の企業だからかもしれません。上場企業の場合はどうしたって株主利益の最大化が義務になりますから。

2 件のコメント:

  1. ちっちきちー2008年1月13日 23:41

    いつも、本当に新しい風です。
    外の世界はでっかいなぁ。

    一度は行ってみたいものです。

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  2. > ちっちきちーさん

    私もアメリカに来て、期待していた以上にいい刺激をいっぱいもらっています。フィランソロピーの新しい動きとか、社会起業とかについて、日本にいるときから関心を持って情報収集していたので、ある程度は知っているつもりでいましたが、いやー世界はでっかくて面白いです。本当に色んなこと考えて、色んなことをやってる人がたくさんいますよね。いい年こいて、わくわくどきどき、です。

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