"米「尊敬する人物」調査、女性はヒラリー氏が6年連続首位"という日経の記事に目が留まりました。下記が、米紙USAトゥデーとギャラップ社が最近発表した米国民の尊敬する人物に関する世論調査の結果。
女性
1位 ヒラリー・クリントン上院議員 (18%)
2位 オプラ・ウィンフリー (16%)
3位 コンドリーザ・ライス国務長官 (5%)
男性
1位 ジョージ・ブッシュ大統領 (10%)
2位 ビル・クリントン前大統領 (8%)
3位 アル・ゴア前副大統領 (6%)
これは、"What woman/man that you have heard or read about, living today in any part of the world do you admire most?"というオープン・クエスチョンに対する回答を集計したものです。わざわざ"in any part of the world"と、世界中の人物を対象とする質問をしているのに、それでも国外の人物が上位に全く入らないのは、アメリカ人の内向きというか自国中心的な世界観がここにもあらわれていると言って良いのではないでしょうか。
それより私が感心したのは、女性の2位の人気トークショーの司会であるオプラ以外は、上位が見事に政治家で占められていること。これは、日本ではまずありえないんじゃないでしょうか。多分、アスリートや芸能人、文化人で占められ、政治家はほとんど名前が挙がらなそうな気がします。
この違いは果たしてどこから来るのでしょうか?単純に考えると、三つの可能性がありそうです。
A. 日本の政界には国民から尊敬されるような優れた人材が集まらない
B. 優れた人材が入ってきても、日本の政界では国民から尊敬されるに値するような活躍ができない
C. そもそも、政治家を尊敬するという文化・精神風土が日本にはない
「政治家の質は、国民の質である」とはよくいわれることです。それはその通りなのでしょうが、ただ日本の政治家とアメリカを含む諸外国の政治家を見ていると、「国民の質」だけでは説明できないほど大きな差がある気がします。例えば、今回の米大統領選に名乗りをあげている、民主党のクリントン、オバマ、エドワーズ、共和党のマケイン、ジュリアーニ、ハッカビー、ロムニーといった面々を見ていると、それぞれ考え方やスタイルは異なれど、優れた見識と魅力を持った人たちばかりだと思います。こう言っては何ですが、日本の政治家とは雲泥の差。この中から自分たちの国をリードする大統領を選べるアメリカ人が羨ましくなるほどです。
「国民の質」の議論から一歩踏み出して、状況を改善できる現実的な方策を取ろうとすると、上記の三つの問題の可能性についてそれぞれ考察してみることが有用だと思います。Aが根本原因となっているのであれば、問題は最も深刻で、リーダーシップ教育や、社会の人材配分とインセンティブ構造を見直さなければなりません。一方、Bの場合は、現在の政治システムや政策決定メカニズムの有効性を再検証しなくてはなりませんし、メディアの扱いについても考えなおしてみる必要があるのではないでしょうか。Cの問題は、(日本の政治家には少々気の毒ですけど)それほど心配することはないと思いますが、Aの問題を助長しますので、まず国民が政治家という職業にもっと敬意を払うことから始めるというのも一つの手かもしれません。
IIHOEブログトピックス(目次)
1 週間前
はじめまして。
返信削除ブログを拝見して、日本の政治家が尊敬されない理由のキーワードとして「職業の固定化」があるように思いました。
言うなれば、政治家になった人はずっと政治畑で生きていくといった具合に。
それに対し、アメリカはゴア氏をはじめ、政治家としてのキャリアを積んだ後にも、多様な分野で活躍している。
そのため国民の目にもとまることが多い。
日本では、政治家は国民と分断されてしまっているため、TVに出ていてもあえて見ようとする人は多くないように思います。
あと実際市議の方にお会いしてみると、非常に優秀で尊敬に値するようには感じます。
アメリカ大統領選が11月まで着々と進んでいきますね。
キリスト教保守派の代表格の1人がジュりアーニ氏を支持したり、女性がクリントン氏よりも、オバマ氏を支持したりと複雑ですが、
制度の全く異なる日本から注視していきたいです〆
> まっつんさん
返信削除政界以外で活躍する政治家が少ないというのは、どちらかというと、原因というより結果のような気がしますね。
ゴアであれ、クリントンであれ、政治家として国民の敬意を受け、それを資本にして他分野で活躍している訳ですから。
また、このアメリカの世論調査では、今回のブッシュのように、男性の一位は毎回だいたい現役大統領ですので、政界後のキャリアがかならずしも大きな要因ではないようです。