2007年12月14日金曜日

マイクロファイナンスの現実

"Botswana and Zambia: Counting on Microfinance"も、ビジネスウィークから。ボツワナおよびザンビアでのマイクロファイナンスの現状に関する、ナレーションつきスライドショー。

ここでも紹介されているBlueは、サラリー・ベースド・レンディングというマイクロファイナンスの手法で大きくなりました。給料天引きで貸したお金を回収する仕組みになっているため、貸し倒れ率を低く抑えています。しかし一方で、低所得層を食い物にしている現代の奴隷制度だとして批判する声もあります。

グラミンバンクをはじめとする、伝統的なマイクロファイナンスは、担保とする資産を持たない貧困層に、隣組のような少人数の借り手同士のグループを作らせ、そのグループに融資を行います。彼らのコミュニティ内の「信用」・「体面」を担保とすることで、貸し倒れ率を抑えるという手法です。

しかし、これが通用するのは主に農村部などの、密接なコミュニティが存在する社会においてであり、都市部のスラムなどでは違った戦術が必要になってきます。給料天引きという手法もそういう文脈で登場したのでしょう。

日本の消費者金融と一緒で、顧客のニーズに応え役に立つビジネスをしているのですから、それ自体が高尚だとか非道だとかいうことは言えません。問題はその運用であり、顧客が満足するサービスを提供し、彼らを味方にしてしまうことが、長期的に見ればより有効な企業戦略になるということに気づいて実践することができるかどうかです。

6 件のコメント:

  1. 近年の貧困層をターゲットとしたビジネスも、やはりいいことばかりではないようですね。勉強になりました。
    「水」における問題も、少数の多国籍企業が、収益性の低い発展途上国に見切りをつけるという動きが見られます。

    有益な雑誌の紹介ありがとうございました!
    これからも凄い視点、楽しみにしています!

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  2. お初です。
    ≡≡ヾ( ̄〇 ̄)┌ο足跡♪つけちゃいました。

    ちっちきちーと申します。
    宜しくです~。

    色々な情報ありがとうございます。
    勉強になります

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  3. マイクロファイナンス(MF)に関しては、私がバングラにいた時代でさえ(2000年)、農村部でさえMFを行う団体が5~6存在し、グラミンの顧客が他の3MF団体からもローンの借用。→グラミンのローンを返すために他のところからローンを借りるなんてのを目撃してました。
    確実にビジネスを成功させて返済してくれる人もおり、やはりこの辺はサービス提供の質をいかに維持させるかが重要だと感じていましたよ。

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  4. 足跡つけてくださりありがとうございました。
    おかげで(実はめったにあしあとcheck しないのですが)
    幸運にも興味深い日記に巡り会えました。

    MFは数冊ばかりの本を読んだだけですが、バングラシュにおられて、グラミンの実像も肌でご存知なのですね。すばらしいな。
    いろいろご教示ウケに参らせていただきます。

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  5. アメリカはビジネスの新しい手法が次々と情報で入ってくる。サブプライムも新しい手法なのでしょうが、とんでもない影響が出ていますね。

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  6. > あるま さん

    ビジネスの価値基準が社会的正義ではなく利潤である以上、収益性の低い事業を切り捨てるのは当然といえば当然の行動ですよね。企業の行動に倫理や社会的責任を担保するには、やはりリーダーシップの役割がとても大きいんでしょうね。


    > ちっちきちー さん

    こちらこそよろしくお願いします。


    > ひろゆき さん

    グラミンでの経験について、是非今度じっくり話しを聞かせてください。この前もちらっと話したRippleとマイクロファイナンスの融合のアイデアを固めるために、もっと現場の抱える問題等について勉強したいんで、よろしくお願いします。


    > りゅうりゅう さん

    僕自身はバングラに行ったことないですが、隣のミャンマーに住んでいました。

    投資関連のお仕事をされているということでしたが、是非そちらの視点から時々コメントいただけるとありがたいです。


    > えべっさん さん

    サブプライム、ひどいことになってますね。でも、損金計上がすごい勢いで進んでるのは、日本の不良債権問題の時とは明らかに異なりますね。

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