2009年8月9日日曜日

マイクロ・ベンチャーキャピタル

7月29日 (水) 午前 【ウガンダ】

1. TechnoServe Uganda

ケニアに続いてウガンダでもTechnoServeを訪れる。ウガンダオフィスの代表はErastus Kibuguさん。

社会投資ファンドを立ち上げたいという話をすると、「アキュメンファンドとか随分注目を集めているが、欧米のプライベートイクイティとかベンチャーキャピタルのやり方をそのまま持って来ようとすることには、正直懐疑的だ」との反応。

「IFCが主導するEast Africa Agribusiness Accelerator Program等を通して、African Agricultural FundやActisなどのファームとも協力してうまくやっているから、あまり悪口みたいなことは言いたくないが」と前置きした上で、

「彼らが欧米のスタンダードで要求する書類、レポート、データが整っているような会社をアフリカで探すのは難しい。中小企業やベンチャーではなおさらだし、そうした情報管理体制が整っているのは大企業で、資本調達に困っていない場合が多い」

「投資先となるアフリカの企業経営者から見たら、アキュメンを含むPEやVCは、非現実的な要求を突きつけるだけで、現地のビジネスカルチャーを理解していないと思われている。また、過度に安全志向で、反応が遅く、硬直的だとして敬遠されてしまう」

「彼らがアフリカのビジネス環境に良い影響をもたらしているとは思うが、今のやり方のままでは、極めて小さいニッチを埋める存在にとどまり、大きなインパクトを生み出すことはできないとおもう」

と考えを語ってくれた。

確かに、これまで見てきたファンドの中で、特に社会的リターンと経済的リターンのダブルボトムラインを謳うところは、ほとんど皆ファンドの規模も10億円以下と大きくないし、財団や政府系の資金源だけに頼っているのが現実だ。

私も、これまで色々と社会起業家たちと会って、「ベンチャーキャピタル的な資金+経営支援というサービスに対するニーズは大きそうだけど、一番深刻な大きなニーズがあるセグメントに向けてサービスを提供し、採算もとれるようにしようとすると、通常のファンドの運営のやり方そのままでは駄目だ」と考えていたので、どうすれば投資先の国々の現状に合致しながら、コスト効率よくリスクを押さえ、投資効果を高めることができるのかという問題について話が弾む。

本当に社会を変えるようなインパクトを生み出そうとするならば、
  • 一般のPEやVCがこれまで対象としていた案件よりも投資規模の小さいベンチャーや中小企業も対象にできるモデルをつくる
  • 資金だけでなく、財政政策や組織設計に関するコンサルティングまで含め踏み込んだ経営支援を行う
  • 投資先企業やファンドに過剰な負荷(コスト、人力)をかけることなく、投資家側の情報、リスク管理へのニーズを充たす方法を編み出す
必要がある。

コストを抑えながら投資効果を挙げる方策として、例えばErastusさんの提案してくれたアイデアは、
  1. まず投資する有望な産業を選び、そのセクターに合致する企業を集めて、集団選考会を行う
  2. TechnoServeなどの、現地のベンチャーや中小企業支援のノウハウと実績を持つ機関と組んで、ソーシング、スクリーニング、トレーニングの部分をアウトソースする
というもの。

マイクロファイナンスが普及する以前、銀行は、担保も用意できず収入も低い貧困層の顧客への融資など、リスクが高すぎて採算がとれないと考えていた。

そこに、マイクロファイナンスは、
  • 担保の代わりに社会的信用という貧困層の顧客が持っている「資産」を活用し(グループレンディング)、さらにローンオフィサーが村々を巡回して借り手との関係を強めることで、リスクを押さえ、
  • そのために管理コストが増える分については、金利を高く設定して回収する
というモデルを開発することで新しい市場を開拓した。銀行と同じやり方をしていては、マイクロファイナンスの成功はなかった。

ベンチャーキャピタルも、顧客のニーズと現実に合わせて、新しいやり方、つまり「マイクロ・ベンチャーキャピタル」とも言うべきモデルを開発する必要があるのではないか。

今のところ、「マイクロ・ベンチャーキャピタル」として知られている例としては、インドのAavishkaarや、中米で活動するAgora Partnershipsがあるが、Erastusさんが指摘したような問題をどの程度克服できているのかは不明。

2. BROSDI

SMSを使った農村向け情報網の構築で実績を挙げているBROSDIのChairpersonのVincent Bagiireさんと会う。Googleと提携したり、来年には農村開発研究センターを立ち上げて海外の研究者の受けいれによって収入をあげようと計画しているなど、持続可能な活動を行っていくために色々と模索中の様子。

彼の事業も、寄付に頼らないビジネスにしようと思えば、やりようがあるはず。農村向け情報配信のインフラを作り上げ、顧客網を広げていけば、それを利用して自社の情報を流すためにお金を払う企業も出てくると思うが。

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2 件のコメント:

  1. 10回くらい押しときました。
    だいぶ上に上がったかな?

    マイクロファイナンスが、社会の底辺にいる人たちが貧困を脱出するための鍵となるという話を聞いてから、とても注目しています。
    ひきつづき、楽しんで読ませていただきます。

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  2. > scorpioさん

    ありがとうございます!でも、同一のPCからのクリックは、一日一回しかカウントされないみたいです。これからも引き続き応援お願いします。

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